夏は少し憂鬱

夏は少し憂鬱

夏が憂鬱なのは、ある種の儚さがそこにあるからだと、ずっとそう思っていた。

違和感に気付いたのは社会人になって数年経ってからだった。どうも自分のパフォーマンスが悪い。遅刻気味になるし、仕事も日中は手につかず夕方ぐらいにようやく頭が回り出してくる。思考しようにも数秒に一回突然チャンネルを切り替えられるかの如く、思考が中断する。咄嗟に物事が思い出せない。出来るはずの自分がいなくなり、人とのコミュニケーションがうまくいかず、ネガティブなサイクルに陥りがちになる。

そういえば学生の時も、夏は人に会いたくなかったり、体調不良を理由にして家にこもり気味だったりした。小学6年生の時に夏休み見たい映画を見て面白かったのに何故か虚無感を抱いた違和感から始まり、高校では一年の夏休みに部活に行けなくなり、大学では当日に遊びの予定をドタキャンしたりした。自分はそういう人間なのだと思っていた。

カウンセリングで相談したところ、こういうことで悩んでいる人は一定数いるのだ、ということを教えてもらった。気温差がある環境だと自律神経が乱れやすい、と。こんなにも季節の気温の変化に、自分の思考力が影響を受けるとは思っていなかった。また調子の浮き沈みはあるべきものだ、とも諭された。常に調子のいい状態が続くとカウンセラーとしては逆に怖い、と。

正直、調子が悪いと未だに良い時の自分の幻想がチラつく。しかし、悪い時はずっと続くものではないとも思えるようになった。要因が掴め、ある程度調子が予測できるようになったので、うまく仕事や日常タスクのバランスを取って、自分で自分の首を絞めないようにしようと思う。

調子のいい今、このことをここ纏めておくことで、後々振り返れるようにしておくことにする。また、もしこのことが悩んでいる誰かのヒントになれば望外の喜びである。